やむを得ない事情で離職することになったけど、自分は「特定受給資格者」なの?
特定理由離職者や特定受給資格者になると、失業保険で優遇されるって聞いたけど、自分は該当しているのかな?
と疑問を抱えていませんか?
この記事を読むことで、以下の部分が明快になります。
- 自分が特定理由離職者・特定受給資格者に該当しているか
- 特定理由離職者・特定受給資格者のメリット・デメリットがわかる
- 特定理由離職者・特定受給資格者に該当する具体的な事例がわかる
この記事を読み終えれば、自分が該当しているかを理解できます。
運よく該当している場合は、給付金申請の際に有利になるので、給付金を受け取りたい方は、ぜひ今回の内容をしっかり確認してくださいね。
ちなみに、以下の記事では、失業保険の一時金を自己都合退職でも受け取れることについて詳しく解説しています。
こちらも、重要な部分ですので、併せて確認してください。
特定理由離職者とは?
特定理由離職者って?
特定理由離職者とは、やむを得ない事情により自己都合退職した人を指します。
厚生労働省では、特定理由離職者を以下のように定義しています。
特定理由離職者とは、特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した者
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf
具体的には、次のようなケースで自己都合退職をした場合「特定理由離職者」と認められます。
- 会社の倒産
- 経営不振による解雇
- 労働条件の大幅な変更による退職
- パワーハラスメントなどの職場環境の悪化
- 家族の介護や病気
このように、やむを得ない事情によって、自己都合退職をした方が該当します。
特定理由離職者は、通常より早く失業給付を受け取れるなどの特例措置が適用される場合があります。
特定受給資格者とは?
特定理由離職者と似ている単語で「特定受給資格者」というものがあります。
特定受給資格者は、主に会社都合による退職や解雇を受けた者で、再就職の準備にあてる時間を十分に確保できず、雇用先の都合で離職した方のことを指します。
厚生労働省では、以下のように定義されています。
倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf
具体的には、次のようなケースで会社都合で退職させられた場合に「特定受給資格者」と認められます。
- 倒産や廃業
- 解雇
- 労働条件の重大な変更による離職
- 生活への配慮がなく離職
特定理由離職者と特定受給資格者の違い
ここまで特定理由離職者と特定受給資格者の概要を見てきました。
しかし、ここまで読んで
何が違うの?同じに見えるんだけど…
という方もいるかもしれません。
ここでは、特定理由離職者と特定受給資格者の違いを3つの観点で詳しく見ていきます。
- 退職理由の違い
- 退職理由区分の違い
- 失業保険の所定給付日数の違い
それぞれ詳しく解説します。
退職理由の違い
1つ目の違いは、退職理由の範囲です。
特定受給資格者は主に会社都合による退職や解雇を指し、倒産、廃業、整理解雇、労働条件の重大な変更などが該当します。
一方、特定理由離職者は、結婚や家族の介護、病気といったやむを得ない事情でありながら、個人的な理由で退職することが重要な意味合いとなっています。
基本的には以下のような指標で区別するとわかりやすいです。
- 会社都合なら特定受給資格者
- 自己都合なら特定理由離職者
厳密にいえば、会社の問題が大きく自己都合退職した場合「特定受給資格」と認定されるように、イレギュラーなケースもありますが、まれなので上の指標で考えておけばよいでしょう。
退職理由区分の違い(離職票-2)
離職票-2の離職区分にも違いがあります。
まず、特定受給資格者は以下1A~3Bまでの区分が設けられています。
離職区分 | コード | 理由 |
---|---|---|
1A | 11 | 解雇(1Bおよび5Eに該当するものを除く) |
1B | 12 | 天災その他やむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇 |
2A | 21 | 特定雇止めによる離職(雇用期間3年以上雇止め通知あり) |
2B | 22 | 特定雇止めによる離職(雇用期間3年未満等更新明示あり) |
3A | 31 | 事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職 |
3B | 32 | 事業所移転等にともなう正当理由のある自己都合退職 |
一方、特定理由離職者では、以下3つの区分が設けられています。
区分 | コード | 理由 |
---|---|---|
2C | 23 | 特定理由の契約期間満了による離職(雇用期間3年未満等更新明示なし) |
3C | 33 | 正当な理由のある自己都合退職(3A、3Bまたは3Dに該当するものを除く) |
3D | 34 | 特定の正当な理由のある自己都合退職(平成29年3月31日までに離職した被保険者期間6か月以上12か月未満に該当する者) |
ちなみに、上記2つに該当しない一般受給資格者は、以下のような区分が設けられています。
区分 | コード | 理由 |
---|---|---|
2D | 24 | 契約期間満了による退職(2A、2Bまたは2Cに該当するものを除く) |
2E | 25 | 定年、移籍出向 |
4D | 40 | 正当な理由がない自己都合退職 |
4D | 45 | 正当な理由がない自己都合退職(受給資格決定前に被保険者期間が2か月以上) |
5E | 50 | 被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇 |
5E | 55 | 被保険者の責めに帰すべき重大な理由による解雇(受給資格決定前に被保険者期間が2か月以上) |
失業保険の所定給付日数の違い
失業保険の所定給付日数における違いもあります。
まず、特定受給資格者は最大90日~330日までの給付日数が設けられています。
一方で、特定理由離職者は一般的な離職者と同様に90日~150日の給付と定められています。
また、本来、自己都合退職の場合は7日間待機した後、給付制限期間として2~3か月間待機する必要があります。
しかし、特定受給資格者・特定理由離職者のいずれかに該当していれば、7日間の待機期間後、給付制限なしで失業保険を受け取れます。
以下の記事では、失業保険の一時金を自己都合退職で受け取る流れや、概要を詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
特定受給資格者・特定理由離職者のメリット
特定理由離職者に該当することで、失業保険の保障が手厚くなるなどのメリットがあります。
ここでは、一般受給資格者と「特定受給資格者・特定理由離職者」を比較した、3つのメリットを紹介します。
- 一般受給資格者と比較して受給の要件が緩和される
- 健康保険料や住民税が一般の離職者と比較して受給の要件が緩和される離職者と比較して受給の要件が緩和される
- 給付金制限の免除
一般受給資格者と比較して受給の要件が緩和される
一般離職者が失業手当を受給するには、離職日以前の2年間で12か月以上の被保険者期間を経る必要があります。
しかし、特定理由離職者の場合は、1年間で6か月以上の被保険者期間があれば、受給が可能となっています。
ちなみに、長期受給の条件が設けられており、該当すれば最大330日間の受給が可能です。
健康保険料や住民税が軽減される
期間満了による打ち切り(雇止め)によって特定理由離職者・特定受給資格者として認定される場合は、保険料や住民税の税率を減免できる制度があります。
減税額は地域によっても異なりますが、前年の給与所得を30%換算して料率を計算することが一般的です。
給付金制限期間の免除
自己都合退職の場合、失業給付の待機期間の7日間+2~3ヶ月の給付制限を経た後に受給開始となります。
しかし、特定受給資格者・特定理由離職者に認定されると、給付金制限期間が免除され、7日間の待機期間を経てすぐに給付金を受け取れます。
特定受給資格者・特定理由離職者のデメリット
特定受給資格者・特定理由離職者になると受給要件が緩和されたり、受け取れる金額が大きくなったりするメリットがあります。
しかし、申請のために多くの書類を用意しなければならない点には注意が必要です。具体的には、以下のような書類が必要になります。
- 労働契約書
- 賃金台帳
- 就業規則
- 雇入通知書
- 離職票-1,-2
- マイナンバーカード
- 写真
- 預金通帳
また、特定理由離職者の認定はハローワークが行います。離職者がどれだけ希望していても、書類から確認できる証拠が不十分なら要件を満たさないため、こちらも注意しましょう。
ちなみに、このブログを運営している「株式会社Founce」では、給付金申請のサポート事業「退職前アドバイザー」を提供しています。
ご利用いただければ、必要書類の集め方や書き方などをしっかりとレクチャーさせていただきます。
ぜひ、この機会に退職前アドバイザーをチェックしてみてください。
特定受給資格者の具体例
続いて、特定受給資格者の具体的な事例を紹介します。
- 倒産: 会社が倒産し、全従業員が解雇された場合。
- 事業廃止: 会社が事業を廃止し、従業員全員が解雇された場合。
- 整理解雇: 経営上の理由で従業員が整理対象となり解雇された場合。
- 契約更新の拒否: 契約社員で、契約更新が行われなかった場合(会社都合による)。
- 労働条件の重大な変更: 賃金の大幅な減額や労働時間の大幅な変更により、退職を余儀なくされた場合。
- 不当解雇: 不当な理由で解雇された場合(例えば、労働基準法違反の解雇)。
- 職場環境の悪化: ハラスメントや劣悪な労働環境により健康を害する恐れがあり、退職せざるを得なかった場合。
これらの理由で退職する場合、特定受給資格者として認定される可能性が高いです。
特定理由離職者の具体例
それでは次に、特定理由離職者の具体的な事例を紹介します。
- 家族の介護: 家族の介護が必要になり、退職せざるを得ない場合。
- 自身の病気や怪我: 自身の健康問題で仕事を続けることが困難になった場合。
- 配偶者の転勤: 配偶者の転勤に伴い、やむを得ず退職する場合。
- ハラスメント: 職場でのパワハラスメントやセクシャルハラスメントが原因で退職する場合。
- 労働条件の大幅な変更: 賃金の減額や勤務時間の変更があり、受け入れ難い場合。
- 過重労働: 長時間労働や過重労働が続き、健康を害する恐れがある場合。
- 職場の安全性の欠如: 事故や災害の危険性が高く、安全に働けない場合。
これらの理由で退職する場合、特定理由離職者として認定される可能性が高いです。
特定理由離職は助成金受給の足を引っ張る?
会社の担当者が
特定理由離職は助成金受給で損するって聞いたから、できれば特定理由にはしたくない
と考えている状態がよくあるパターンです。
離職する側としては、できれば特定理由離職者に認定してもらい、できる限り多くの失業保険を受け取りたい。
一方、会社側は
助成金受給に響くから、どうにかして特定理由離職者にしない方法があればいいな。
と考えていることと思います。
話の腰を折るようですが、実は、特定理由離職者が出ても助成金の受給申請には全く影響がありません。
雇用関連の助成金の受給資格としてよく設けられているのが「一定期間内に事業主の都合で離職者が出た会社」という資格であり、この部分を見て特定理由離職者にしたくないと考える企業は多いです。
しかし、特定理由離職者は会社都合の離職ではないため、助成金を申請することが可能です。
一方で特定受給資格者は会社都合で離職したことを示すので、会社側としてはできる限り避けたいと感じる部分ではあります。
この部分、少し難しいですが、理解しておくと失業保険への理解が深まり、どのように申請すべきかが明確になるでしょう。
給付金の申請は退職前アドバイザーの利用がおすすめ
ここまで、特定理由離職者と特定受給資格者について詳しく解説してきました。ここまで読んで
めちゃめちゃ複雑で、申請できる気がしない…
と絶望してしまった方も多いのではないでしょうか。
確かに、給付金関係の書類集めや、要件の理解は非常に難解であり、全く知識がない方が取り組むと、多くの時間を必要とします。
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ちなみに、以下の記事で退職前アドバイザーの口コミを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください!
まとめ
この記事では、特定理由離職者と特定受給資格者の違いやそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説しました。
特定理由離職者は、会社都合や、やむを得ない事情で退職した場合に認定され、特定受給資格者は主に会社都合で解雇された場合に認定されます。
これらに該当する場合、失業給付の受給要件が緩和され、待機期間の短縮や給付制限の免除といった優遇措置が適用されます。
今回の内容も参考に、ぜひ、自分が特定理由離職者・特定受給資格者に該当しているかを調べ、受け取れる給付金はすべて受け取ってください。
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