【完全解説】傷病手当金とは?受給要件から申請方法まで!

給付金

病気やケガで働けなくなった時、収入が途絶えることは大きな不安要素となります。

しかし、そんな時のために用意されているのが「傷病手当金」という制度です。

この記事では、以下の内容をお届けします。

  • 傷病手当金とは
  • 傷病手当金を受け取るメリット
  • 傷病手当金の要件
  • 傷病手当金の金額
  • 傷病手当金を受け取るために必要な書類

申請を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

この記事の監修者
河村謙信

株式会社Founce代表取締役。当社が提供するサービス「退職前アドバイザー」では、累計1,800人以上の退職を支援。お困りの方はお気軽にご相談ください!

傷病手当金とは

仕事中の怪我や病気で働けなくなった時、収入を補償してくれる制度が傷病手当金です。健康保険に加入している会社員や公務員が利用できる制度で、給料の約3分の2が最長1年6カ月まで支給されます。

たとえば、重い腰痛で3か月間仕事を休まなければならなくなった場合、その期間の生活費を心配することなく治療に専念できます。医師の診断書があれば、入院だけでなく自宅療養でも受給が可能です。

病気やケガの治療に専念できる環境を整えることで、早期回復を支援する重要な社会保障制度となっています。申請には勤務先での手続きが必要ですが、労働者の生活を守る大切なセーフティネットとして機能しています。

支給要件や申請方法は加入している健康保険組合によって細かい違いがありますので、詳しくは所属の健康保険組合に確認するのがおすすめです。
この制度のおかげで、多くの方が経済的な不安を抱えることなく、心身の回復に向けて安心して療養生活を送ることができています。

傷病手当金を受け取るメリット

傷病手当金を受け取ることで得られるメリットは以下の通りです。

  • 収入を確保できる
  • 復職後の生活を安定させられる
  • 治療に専念できる

中でも最も大きなメリットは、収入を確保できることでしょう。

病気やケガで働けない期間も、通常の給与の約3分の2が保証されるため、生活水準を大きく下げることなく療養に専念できます。
たとえば、月収30万円の場合、傷病手当金として月額約20万円が支給されます。これにより、家賃や光熱費、食費といった基本的な生活費をカバーできる水準の収入が確保できます。保険料や税金が控除される前の給与をベースに計算されるため、実質的な手取り額との差は想像以上に小さくなります。

傷病手当金の要件

続いて、傷病手当金を受け取るための要件について4つ紹介します。

  • 働けない
  • 休みの日に給料の支払いがない
  • 業務外の傷病が原因
  • 連続する3日を含み4日以上の休みがある

それぞれ詳しく解説します。

働けない

傷病手当金における「働けない」状態について、医師による診断が重要な判断基準となります。仕事を完全にできない状態だけでなく、業務に支障をきたす程度の症状も対象となります。

以下のような状態が「働けない」と判断される代表的な例です。

  • 入院による治療が必要な状態
  • 自宅での安静療養が必要な状態
  • 通勤や勤務時の体力的な負担が大きい状態
  • 精神疾患により業務遂行が困難な状態
  • 重度の痛みや症状により仕事に集中できない状態

医師の診断書で「就労不能」と認められれば、必ずしも寝たきりや重症である必要はありません。

休みの日に給料の支払いがない

療養のために仕事を休む場合、給与の支払いがない期間が発生します。その際に給料を支払われていなければ、傷病手当金の対象となります。

ただし、給料の支払いがあったとしても傷病手当金よりも金額が少ない場合には、差額が支給されるため、休み期間の給料の支払いについては確認しておきましょう。

業務外の傷病が原因

傷病手当金は、仕事以外が原因の病気やケガで働けなくなった場合に受給できる制度です。通勤や仕事中の事故は労災保険の対象となり、傷病手当金の対象外となります。たとえば、休日のスポーツ中の怪我や、日常生活での急な発病が対象です。

ただし、健康保険を使わない自費診療でも、医師が「就労不能」と診断すれば申請できます。インフルエンザなどの感染症や、持病の悪化、うつ病などの精神疾患も、業務外であれば対象となります。
美容整形や任意の手術など、治療目的でない医療行為は対象外です。「業務外」の判断が難しい場合は、勤務先の人事部門や健康保険組合に事前に確認することをおすすめします。

どちらの保険を使うべきか迷った際は、労災保険と傷病手当金の対象範囲を正しく理解することで、適切な申請が可能になります。

連続する3日を含み4日以上の休みがあること

傷病手当金の支給を受けるには、連続3日間の待機期間が必要です。4日目からが実際の支給対象となり、この仕組みを理解することが申請の重要なポイントです。

例えば、月曜日から体調を崩して休み始めた場合、月・火・水が待機期間となり、木曜日から傷病手当金が支給されます。待機期間には土日祝日も含まれるため、金曜日に休み始めた場合、金・土・日が待機期間となって、月曜日から支給対象となります。

ただし、3日間の休みが連続していない場合は要件を満たしません。月曜・火曜と休んで水曜日に出勤し、また木曜日から休むような場合、新たに3日間の待機期間が必要になります。待機期間は有給休暇を使用した日も含まれるため、計画的な申請により、収入の空白期間を最小限に抑えることができます。

傷病手当金の金額

傷病手当金の計算は、状況によって異なります。

そのため、状況を確認し最適な計算方法を用いる必要があります。

  • 健康保険加入期間が12カ月以上
  • 健康保険加入期間が12カ月未満

ここでは、それぞれの方法について詳しく解説します。

健康保険加入期間が12カ月以上

健康保険に1年以上加入している場合、傷病手当金は直近12ヶ月間の給与をもとに計算されます。これにより、賞与や昇給を含めた実態に即した支給額が保証されます。

計算方法は次のようになります。

  • 直近12ヶ月の標準報酬月額を合計
  • 合計額÷12で月平均を算出
  • 月平均÷30日で1日あたりの支給基礎日額を計算
  • 支給基礎日額×2/3が実際の給付額

たとえば、標準報酬月額が30万円で賞与が年間100万円の場合、月額換算約38万円が計算のベースとなります。この金額から日額を算出し、その3分の2が支給されます。このように、ボーナスを含めた実収入に近い金額で計算されるため、生活水準を大きく下げることなく療養に専念できます。

健康保険加入期間が12カ月未満

健康保険の加入期間が12カ月未満の場合、傷病手当金は加入後の平均給与をもとに計算されます。これにより、新入社員や転職者でも適切な給付を受けることができます。

計算方法は以下のとおりです。

支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×(2/3)

また、支給開始日以前の期間が12カ月に満たない場合は、以下の低い額を使用して計算します。

  • 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
  • 標準報酬月額の平均額
  • 30万円(支給開始日が平成31年4月1日以降の方 )

例えば、入社3ヶ月で月給25万円の場合、3ヶ月の総支給額75万円÷3ヶ月=月額25万円が基準となります。この金額から1日あたりの支給額が計算され、その3分の2が実際の給付額になります。

加入期間が短くても、直近の給与水準に応じた手当が保証されるため、安心して療養に専念できる仕組みとなっています。

傷病手当金を受け取るために必要な書類

傷病手当金の申請には、複数の書類が必要です。すべての書類を適切に準備することで、スムーズな給付を受けることができます。

必要な書類は以下の通りです。

  • 傷病手当金支給申請書
    • 医師による診断書部分の記入
    • 事業主による労務不能期間の証明
    • 給与支払い状況の証明
  • 健康保険証のコピー
  • 振込先口座の通帳コピー
  • 印鑑(申請書に押印が必要な場合)

申請の流れとしては、まず医療機関で診断書部分を記入してもらい、その後会社で事業主証明を受けます。最後に健康保険組合または全国健康保険協会に提出します。

なお、継続して傷病手当金を受給する場合は、定期的に医師の診断書が必要となります。申請書は健康保険組合のホームページからダウンロードするか、窓口で入手できます。

提出前に記入漏れや押印忘れがないか確認することで、スムーズな給付につながります。不明な点がある場合は、所属の健康保険組合に相談することをおすすめします。

傷病手当金の受け取りに不安なら退職前アドバイザーに相談!

傷病手当金の受け取りに不安があるなら、退職前アドバイザーにご相談ください。

特に休職中の方は、収入面での不安を抱えているケースもあるのではないでしょうか。私たちは、1人ひとりの状況に応じた最適なアドバイスを提供しています。

具体的には、以下のようなサポートを行っています。

  • 傷病手当金の申請手続きのサポート
  • 給付額の試算とアドバイス
  • その他休職中の不安を解消するアドバイス

特に申請手続きは複雑で、書類の不備があると給付が遅れる可能性があります。

また、傷病手当金の受給期間は限られているため、逃すと損をしてしまうケースがあります。

退職前アドバイザーをご利用いただければ、不安を感じている部分についてしっかりとサポートいたしますので、安心して給付金を受け取っていただけるでしょう。

そして、給付金が受け取れなかった場合にはサポート料金の返金保証も行っています。LINEの無料相談も受け付けているので、お気軽にご相談ください。

まとめ

この記事では、傷病手当金について詳しく解説しました。

傷病手当金は、仕事中の怪我や病気で働けなくなった際の重要な社会保障制度です。主なポイントは以下の通りです。

  • 給料の約3分の2が最長1年6カ月まで支給される
  • 健康保険加入期間によって計算方法が異なる
    • 12カ月以上:直近12ヶ月の給与を基準に計算
    • 12カ月未満:加入後の平均給与を基準に計算
  • 申請には以下の書類が必要
    • 傷病手当金支給申請書(医師の診断書含む)
    • 健康保険証のコピー
    • 振込先口座の通帳コピー

不安がある場合は、所属の健康保険組合や退職前アドバイザーに相談することで、適切なサポートを受けることができます。傷病手当金の受給に不安を抱えている方は、お気軽にご相談ください。

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